兵庫労連

兵庫県労働組合総連合(兵庫労連)は「働きがいのある、人間らしい仕事(ディーセントワーク)」の確立、地域経済・雇用・社会保障を守るための活動をしています。〒650-0023 神戸市中央区栄町通3丁目6-7 大栄ビル10F  TEL 078-335-3770 FAX 078-335-3830 rorenhyogo@shinsai.or.jp   “ひとりじゃない”相談するという選択 フリーダイヤル 0120-378-060 相談無料・秘密厳守 月~金12時~18時(土日祝日をのぞく)

生きるために仕事しませんか

1年間隠され続けた青年の死

 先ほどネットニュースで、過労死の記事を発見しました。大分県職員 26歳 男性が県庁舎内で自死に至ったというもの。2018年6月に起きたとのことだが、この1年間、県は線香の一つもあげることなく、また報道されることもなかったとのこと。今年6月4日に両親が公務災害認定をしたとのこと。

なぜ自死に至ったのか

 2018年4月に異動命令を受け、県の福祉保健企画課へ異動。元々の担当者から3時間程度の引継ぎを受けて業務を行っていたが、慣れない、また引継ぎも不十分であったことから残業が増えて行った。

 残業申請は上司の許可制となっており、県が把握していた残業時間は3ヶ月平均で26時間程度。しかし、パソコンの使用履歴等を確認すると、3ヶ月平均で113時間に達していたとのこと。申請はパソコンの使用履歴ではなく自己申告制だったとのこと。また、業務がおわらないため、休日出勤も行っており、命を絶ったその日も休日出勤をしていたとのこと。

 死の直前には母へLINEで「逃げたい」「死にたい」などの発言もされており、北海道の新人看護師の過労自死が連想されるような状態だった。

過労死・過労自死とは?

 労働基準法32条【労働時間】で1日8時間、週40時間の労働が定められています。これを超えて働かせることはできません。では、なぜ残業ができるのか?それが労働基準法第36条【時間外及び休日の労働】です。これは第32条に対する特例であり、この第36条に沿って協定を結ぶと、残業や休日労働ができるようになります。これについては一つ前の記事にも書かせていただいてますので、ぜひご覧下さい。

 4月からの新36協定では、残業上限を最大でも100時間未満にしなければいけません。でも、ちょっと待ってくださいよ?100時間未満、99時間59分59秒までいけちゃうわけです。

 月の残業が概ね45時間を超えて時間外労働が長くなるほど、業務と脳血管疾患及び虚血性心疾患の発症の相関性が強くなると厚生労働省が示しています。国が認めているわけです。さらに言えば、月100時間または2~6ヶ月間の平均残業時間が80時間を超える場合は相関性は強いといえる。としています。

 うつ病などの精神疾患の場合、発症の1ヶ月前に160時間、3週間前に120時間。また、発症前2ヶ月連続で120時間、3ヶ月連続で100時間の時間外労働がある場合、関連性が高くなります。1ヶ月に時間外労働が100時間程度の場合でも、パワハラや転勤、2週間以上の連続勤務などの心理的負荷のある他の要因が当てはまるようであれば、関連性は高いと判断されることもあります。

 今回の男性の死も、異動直後で連続する長時間残業があった状況を考えると、非常に辛い状況だったことが考えられます。

なんのために?誰のために?

 日本の労働は、長時間労働で過重業務、かつ低賃金であることは世界的に見ても明らかです。低賃金だからこそ日給月給労働者は長時間の労働を強いられる。また、月給日給労働者でも、残業代で給料を稼ぐという考えの強い職場もあれば、残業を上司命令で強要、もしくは終わらない量の仕事を押しつけられるという状況が当たり前化しています。今の日本の労働はまさに、『働くために、生きる』という状況。ワーク・ライフ・バランスという言葉がしっくりきます。

 でも、本当にそれで良いのか?『生きるために、働く』それが人間らしさではないでしょうか。ライフ・ワーク・バランス。単語を入れ替えただけで捉え方は大きく変わります。

他人ごとではない

 今、日本では20代・30代のいわゆる青年層の方が多く亡くなっています。そして、その多くが過労死および過労自死です。青年、若者が笑顔で働ける職場こそ、これからの社会を成長させる、活気づかせることに結びつくと思います。働き方を変えなければいけない。でも、働き方は政治が大きく関わっている制度です。だからこそ、政治を変えなければいけない。

 公務員だから関係ないのではありません。電通社員、NHK、医療、製菓など、様々な分野で青年が亡くなっています。社員が一人死んだ。その時に何を考えますか?人が足りないから補充しなければ。現場にとっては大切かもしれませんが、こんな思考が真っ先に思い浮かぶ状況は決して正しいとは言えません。人が命を落とすような職場こそ、根絶しなければいけない。

 私はそう思います。何かあれば、まず相談してください。ハラスメント、長時間労働、過重業務、そういったことをまず一時的にでも改善するには労働組合しかありません。根本から変えるには政治を変えるしかありません。

 ひとりひとりが命を大切にできる社会をみんさんと作っていきたいです。

 

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