新型コロナで内定取り消し?いやいや、そんな必要はないじゃないか
新型コロナウイルスが世界的にパンデミックの状態となっており、事態は悪化しているとWHO(世界保健機関)の発表があります。
さて、そんな新型コロナウイルスに関連して、4月就職予定の内定者の方々が内定取り消しされている事態に陥っているところが出てきています。これが今、大きな問題となり波紋をよんでいるのはみなさんもご存知ではないでしょうか。
こんなことが許されるのか?いえいえ、許せませんよね。今日はそんな内定取り消し問題がおかしい!ということを書き綴っていこうと思います。
雇用調整助成金は内定者にも適応される
そもそも内定とは?というところから考えていきたいと思います。
内定(始期付解約権留保付労働契約)とは
新たに労働者を採用する際に、勤務が始まる前から入社の約束をすることを指します。一般的には、企業が求職者に対して内定通知を行い、求職者が誓約書を提出するなどにより内定を承諾した場合に、内定が成立します。
労働契約の開始時期が定められており、かつ、それまでの期間に企業が一定の範囲で契約を解約する権利を留保した労働契約だといえます。
ネットとは便利なもので、検索すればすぐに言葉の意味が出てきますね。そうなんです。内定も労働契約の一つなんです。内定が決まった時点で、その企業との契約は成立しているんですね。
では、契約を解約する権利についても調べてみましょう。
「解約権留保付」とは、企業が労働契約の解約権を留保している状態であり、一定の範囲でその解約権を行使し、労働契約を解約することができるということを意味します。
なんか、難しい言葉ですけども、要は『ある一定の範囲のできごとがあった場合に限って、解約権を使って内定を取り消すことができる』ということですね。
なんでもかんでも理由をつけて内定取り消しはできない。(内定取り消しの制限)ということです。
内定取り消しの制限
内定の成立により労働契約が成立したと認められる場合、労働契約法や労働基準法などの様々な規定が適用されることとなります。すなわち、企業による内定取り消しは解雇に当たり、労働契約法第16条の解雇権の濫用についての規定が適用されることから、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない内定取り消しは無効となります。
今回のコロナウイルスでは、会社の経営が成り立たないという理由で内定取り消しとなっている場合もあるようですが、会社の経営が成り立たない場合の内定取り消しについても規定があり、下記の4点全てをクリアしなければいけません。
・人員整理の必要性があること
・解雇回避のために最大限の努力を行ったこと
・解雇対象者の選定等が合理的に行われていること
・手続きが妥当であること
ここまで来ればお気づきの方も多いかと思いますが、新型コロナウイルスによる休業で経営が成り立たないため、内定を取り消す、ということは相当条件をクリアしないとできないわけです。
また、ブログのお題にも書きましたが、内定を取り消す必要は全くありません。それはなぜか?今回の事例において、経営が成り立たないということが理由にできないからです。
今回の新型コロナウイルスに対する雇用対策として、雇用調整助成金という制度に特例が設けられたということはみなさんもテレビのニュースでご覧になっているかと思います。この雇用調整助成金ですが、なんと、内定者に対しても適応されるのです。つまり、内定者を採用して4月から働くにしても、出社ができず自宅待機となる場合でも賃金補償すれば雇用調整助成金の制度を利用して企業が支払った賃金分は国が負担してくれるわけです。
ならば、内定を取り消す必要はそもそもないじゃないですか。また、内定取り消しは解雇と言えますので、取り消しは30日前に言うかもしくは解雇予告手当が発生するものです。内定者の中には、その企業で働きたくて厳しい就職活動を乗り越えて内定を得た人も多くいると思います。だからこそ、企業は内定取り消しの4要件にあるように、『解雇回避のために最大限の努力を行う』ことをしなければならないと思います。
新型コロナウイルスに関連したは労働相談は多くなっています。当然、内定取り消しの事案も発生しています。でも、正当な理由もない内定取り消しは許せません。こういった問題等ありましたら、いつでも兵庫労連・労働相談センターへご相談ください。
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